大学の仕事の進め方

大学教員は、一般的には教育と研究をやっているというイメージがあるだろうが、その他にも大学運営のための仕事をすることが多い。特に最近は、その仕事の割合が年々増加しているという調査報告もされている。

そうした中で、大学での仕事の進め方について、佐藤良明「これが東大の授業ですか。」pp.129に下記のように書いてあった。

  1. 分担主義:物事は順番に、平等に
  2. 極小主義:負担は増やさず
  3. 聖域主義:ひとさまの授業に口出しするなんて.....
  4. 形式主義:格好がつけば、やったのと同じである

ということである。
特に、

「個人個人は怠惰でなくても、「集団の思考」を律する前提に、「相互保身的不活性」というか、「なんとか殻の内側で静かにしていたい」的な方向性が組み入れられていると言うことだ。」

とあるように、組織的なまとまりや合意が必要になるであろう大学改革がいっこうに進まないのも当然ということだろう。

著者は、

  1. よりよい製品を生み出すこと。顧客のニーズに応える教材を競って(淘汰の原理を導入して)作る。その成因は、その使用を強制される同僚の厳しい目にさらされる。
  2. 制作者間の相互刺激。大人数・固定方式の授業という条件を与えられた企画グループは、そのマイナス面を克服するため、競って顧客の絵かを折り込んだシステムを考案した。そのなかで、当初ばらつきがあった企画グループ内部の士気は、ある一定期間、高い方に統一された。
  3. クラスの現場でどのような授業が行われようと、それをバイパスして、中央から発す宇企画の意図が全ての学生に届くような回路が作られた。
  4. 機械や装置が、教育サービスを代行する目的ではなく、企画者と顧客とのより密接なコミュニケーションのツールとして使われた。受講者のレベルにあった字幕付きビデオ制作、授業中のOHCの多用。受講者それぞれへのテープ配布(後にネットを使った音声配信)など。

そして、この英語のカリキュラムを主導された2人の教員が抜けた後は、分業とローテーションの原則そのものに委ねられた。そして、それらのメカニズムとして下記の表がまとめられている。組織運営の仕方に2つの対照的な原理があることを示している。

A:最大効果の原理 B:負担公平の原理
切磋琢磨 和気あいあい
指示系統 横並び平等主義
技術開発・自己刷新 ルーティンの定着
専門分化 ローテーション

結局のところ、個々の大学教員は、個人の研究活動を行い、学外に対して対外的に活動する方が、活動しやすく、かつ適正な競争やそれに伴う成果とその評価が適正に働くということだろうか。そのため、こと教育という観点からは、何のインセンティブも働かず適正な競争も行われないということになるのだろうか。

シンガポールの国立大学

シンガポールの教育についての情報を提供してくれるのは、シンガポール・エデュケーションであり、政府が省庁の垣根を越えて2003年に設立した政府機関であるという。教育ハブ都市としての機能を強化するための政府の政策であり、留学生確保がその目的であろう。そのため、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、韓国語、日本語で情報提供されている。
留学する際のメリットを詳細に記載しており、留学するための情報が網羅されており、教育制度を調べる上でも充実している。


http://app.singaporeedu.gov.sg/jp/asp/index.asp

シンガポールには、下記の国立大学として、3校あるが、2012年に新たに開学する大学として、シンガポール技術デザイン大学がある。
・シンガポール国立大学(National University of Singapore/NUS)
・南洋工科大学(Nanyang Technological University/NTU)
・シンガポール経営大学(Singapore Management University/SMU)
・シンガポール技術デザイン大学(Singapore University of Technology and Design)

大学の設置のために、MITと中国のZhejiang University (浙江大学)と連携しており、様々な教育資源が投入されており、その勢いを感じるところである。現在、学生を募集中であり、競争率も高くなるものと思う。

2012年スタート

あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年は、真冬のボストンに2ヶ月強滞在する機会を頂き、楽しく刺激的な日々を過ごすことができました。そして、ちょっと太りました。渡米中には、東日本大震災が起こり大変な一年になりましたが、日々の生活を大切に過ごしていこうと思いました。

林一雅 / 特任助教
東京大学教養学部附属教養教育高度化機構

MICE

ここ10年程のあいだいから、MICEという言葉がビジネス旅行の業界では使われ始めている。
ここ数日メディアで目にする機会があるため、少し調べてみた。

MICEとは、下記の4つの言葉の頭文字をとった造語で、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称である。
 Meeting 会議・研修・セミナー
 Incentive 接待・優待・視察
 Convention 大会・学会・国際会議
 Exhibition 展示会

テレビ東京・ワールドビジネスサテライトで特集が組まれており、ここ最近では、シンガポールが盛んであるという。
また、日本でも、MICE Japanという雑誌が創刊されている。 守口編集長
ラスベガス・サンズという会社が、シンガポールに「マリーナ・ベイ・サンズ(Marina Bay Sans at Singapore)」というMICEの機能を備えた巨大複合施設を開業したと報道している。建築的もかなり特徴的なデザインをしており、一度は行ってみたいと思う外観である。
複合施設ということで、ここに来れば、ビジネストリップのすべてをまかなうことができるということで、ここ最近は、国際会議の開催数が伸びており、日本はその座をシンガポールに奪われているという。シンガポール資源がないこともあり、最近は観光産業にシフトしており、初めてカジノの運営を許可しているという。日本も観光庁がバックアップして、MICEの開催・誘致の推進を行うウェブサイトを解説して、巻き返しをしているようだ。しかし、様々な領域にまたがることもあり、制度や商慣習(3年先のホテルの予約ができないなど)が追いついていないため、まだまだ巻き返しをするには解決するべき課題が山積みのようだ。

思えば、大学の世界でも、国際会議を主催するための日本学術振興会が助成として、国際研究集会を募集している。毎年140件程度の応募があり、約40件が採択されている。今後も地道にこのような活動を行っていくことも重要であるが、それらの活動をスムーズにしてより効率的に実施して行くことが重要であるようだ。さらに、交流という観点から英語の重要性もますます求められていくことになるのだろう。

シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」、09年内に50%開業-MICEに注力