Yコンビネーター

書名にもなっているベンチャーファンドの企業名の「Yコンビネーター」は、コンピューター専攻だったこともあり、LISP言語の再帰的定義を実現するための不動演算子のことを意味している。

アイディアを生み出すための3箇条
創業者自身んが使いたいサービスであること
創業者以外が作り上げるのが難しいサービスであること
巨大に成長する可能性を秘めていることに人が気づいていないこと

ポール・グレアム「急いでローンチしろ」何かアイディアを思いついたら、最小限動くモデルをできるだけ早く作れ。作りかけのプロトタイプでも構わない。とにかく現実のユーザーの手もに届けて反応を見る。そうして、はじめてそのプロダクトがユーザーがもとめていたものなのかどうかがわかる。

民の見えざる手-大前研一

 大前研一氏の本は機会がある毎に読んでいるのであるが、今回はこれまでの提言を民に呼びかけている点が特徴かと思う。

特に教育・人材育成の分野で、世界との比較をしていたのが印象に残った。とりわけ韓国の成長に対して、詳しく言及していた。
 韓国は、IT、英語と急成長しており、世界中で活躍するリーダーが登場してきているという。特にIT化は、2000年当時に40代を中心に仕事が無くなると言うことで必死になって勉強してきたこともあり、現在の競争力につながっているという。また、LGやSamsunなどは、入社段階で、かなりの高スコアのTOEICを求めると言うこともあり、それらが初等中等・高等教育に大きな影響を与え、英語熱が高まり、結果的に英語力があがってきているという。

人材採用については、大卒新卒者が役に立ち戦力となるのは、10-20年後なのだから、その将来を見据えた投資を行うことが必要で、その判断を下すのが経営者の役目であろうと言うが、現在の日本では、その時の景気に左右され採用抑制などは無責任だと主張する。
その点から、大卒の就職内定率に関する議論は根本的にずれていると指摘する。さらに、これらの問題に対応して、文部科学省の就職支援の政策についても問題点をしている。
大学生の能力を改善することなしに就職を支援されたら、企業は大きな迷惑であるという。大学が品質管理をしないで学生という製品を納入するようなものである。その費用を国が支援という形で負担するのは、間違っているという。それらの人材を採用したら、企業も大きなダメージを受けるという。文科省は、世界で通用する人材を育成するように、小学校から大学までのすべてのカリキュラムを根本的に作り直すべきであると主張する。
 世界を見渡すと、ハーバード大学に留学しているのは、インド、中国、韓国が近年増加傾向にあるが、日本からの留学生は減少しているという。

 また、大半の日本企業は、留学生制度を廃止しただけではなく、グローバル化に対応するキャリアパスを組んでいない。一方、世界中で事業を展開しているジョンソン・エンド・ジョンソンやネスレなどは、言語圏ごとにキャリアパスを確立している。外交官のように英語、スペイン語、中国語などの言語圏の中でローテーションの仕掛けがあり、若い頃から同じ言語圏の国と本社を行き来してキャリアを積むのである。

米国での動向としては、即戦力として軍人を採用する企業が増加しているという。FORTUNE(2010年3月22日号)によれば、イラクやアフガンでの駐留経験を持つ若い将校を積極的に採用しているという。その理由は、最前線の戦闘部隊を指揮した大学卒業の20代後半から30代前半の人間が、大卒後そのままビジネス界へ進んだ同世代よりも若くして多くの人間を率いた経験を持ち、さらに戦場での予測不能な事態に対して対処した経験を高く買っているからだという。
 これらは、若手に対して、状況に柔軟かつ迅速に対応する能力が求められていることを意味している。

ビジネスウィーク誌(2010年6月7日号)によるとアメリカの大卒後の衆力率は、24.4%、日本が91.8%、中国が70%、イギリスは15%であるという。

この本の最後には、下記の3点が書かれている。
1.まず共通認識を持つ
 日本が長期低迷に陥ったのかを理解することがである。
2.国債から資金を移動する
 国家の無駄使いの元になっている国債からのシフトである。
3.自治体が動き出す。
 
以上の3点を述べて、民自らが日本の経済と企業を変える駆動力になって欲しいと主張している。

文化移民―越境する日本の若者とメディア

 ニューヨーク、ロンドンの街やそれらの街での文化的活動に憧れて旅だった若者たちを22人をインタビューしてまとめたエスノグラフィーである。
 著者の藤田結子氏は、現在は慶應義塾大学の准教授で、Colombia University とロンドン大学ゴールドスミス校での研究活動をまとめた博士論文を日本語で書き直した内容である。

 社会学のエスノグラフィーを読むのは、初めてだったので論文の構成や書き方など、新鮮であった。また、比較的丁寧に調査を行い、わかりやすく書かれているという印象である。理論的には、国際移動研究などの先行研究を参考にしているようである。このような研究分野があることを初めて知ったが、そこでの対象は、いわゆる生活のための国際移動ということで、今回この著書で対象としている若者には、この研究成果が直接的に関係するとは思えなかった。

 読んでみての感想であるが、若者の考えやその後のその経過を観察しているので、どのような変化が起きているのが理解できた。ここに登場する若者はまだまだ未熟であるとも思った。若者らは、著者の言う「文化移民」を経て日本などに戻ってきて、どのような成長をしていくのかについて、興味を持ったので、継続して調査して欲しいと思う。

松野弘:大学教授の資格

これからの大学教授について、特に社会人出身の教授に焦点を当てて、大学教授の資格について、「ネオ・アカデミクス」を提唱している。

現在の日本の大学が置かれている状況をこれまでの大学改革の歴史的な経緯と外国の大学との比較をしている点は、勉強になる。

提唱している「ネオ・アカデミクス」について、の基本的な能力要素を4つあげている。
1.研究活動と研究成果に裏付けられた、すぐれた理論的・方法論的能力
2.実践的活動を反映できるような、十分な実証的能力
3.理論と実践とを有機的にリンクさせる、知的な統合能力
4.社会的課題を現実的な視点から解決し、その方策を提示できる能力

さらに、上記の能力要素を土台として、グローバルに活躍していくためには、下記の要件を備えていることが求められるとのことである。
1.複数言語
2.国際的な学会、もしくは、外国の学会の正会員であること。
3.国際的な学会、もしくは、外国の学会で学会発表、投稿論文採択の実績があること
4.国際的な学会、もしくは、外国の学から賞を受賞した経験があること
5.外国の大学で講義義務を行うことが要請されている「客員教授」として招聘された経験があることと当該国の言語で講師として講義をした経験があること。
6.外国の研究者とともに、国際的なフィールドワークの経験があること。
7.日本と外国のフィールドとを比較した研究活動の実績があること。
8.外国の研究者とともに、国際的なシンポジウムに参加した経験があること。
9.外国のアカデミーの会員になったことがあること
10.外国の政府機関・公共的機関等の委員やアドバイザーの経験があること。

 ちなみに、一般的に文系の研究者が教授として求められる研究業績は、下記だと書いてあった。
文科系:単著3冊、編著5冊、論文数40本以上
理科系:平均100~150本程度の論文採択

読後の感想は、誤字が多い点と内容的に重複する箇所がいくつか散見される点があったので、その点が改善されれば、もう少しコンパクトになりすっきり読むことができるのではないかと思った。

究極の思考術

弁護士が執筆した書籍として、究極の思考術ということで、弁護士の仕事上で論理的思考力がアップする二項対立の視点について、15の具体例を挙げながら説明している。物事を整理するための視点としては、このような観点から物事を捉えることは重要であると感じることができる一冊である。さらに、この視点で物事を説明することができると相手にもシンプルに伝達することができるのではないかと思う。

1.必要性と許容性の視点のポイント
2.形式論と実質論
3.禁止レベルと許容レベル
 LRAの原則:Less Restricted Alternative(より制限的でない他の選び得る手段)
4.必須と任意
5.効率と適正
6.理論値と現実値
7.事前と事項
8.主(メイン)と従(サブ)
9.並列関係と優劣関係
10.全体と部分
11.共通点と相違点
12.原則論と例外論
13.抽象論と具体論
14.絶対論と相対論
15.通説と有力論